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「日本初の常設サーキット」多摩川スピードウェイ跡地(取り壊し前)

かつて多摩川の河川敷に「サーキット場」があった。
場所は、東急東横線多摩川橋梁の隣、多摩川駅と下丸子駅の間の川崎側。堤防に観客席跡などが今も残っている。

多摩川スピードウェイは、アジア初・日本初の常設サーキットパーマネントサーキット・クローズドサーキット・常設コースを備えた競技専用施設)であり、なおかつ日本唯一の常設サーキットでもあった。
常設サーキットとしては1962年に鈴鹿サーキットが開設されるまでは、多摩川スピードウェイが国内で唯一の自動車が使用できるサーキットであった。

「多摩川スピードウェイ」跡地は、築堤工事のため取り壊されました。
観客席の一部が移設保存。横並びの3席分、幅約3・3メートル分。

取り壊し後の記事はこちらから。
なお、新設されたプレートには、当サイトの写真が採用されております。
ありがとうございます。

2021年末、多摩川河川敷に開設された日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」観客席跡が取り壊しとなった。当初は、全面的な解体が予定...

移設保存にあっては、多摩川スピードウェイの会 (Tamagawa Speedway Society)の多大な尽力があった。


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位置関係

国土地理院航空写真
地図・空中写真閲覧サービス
ファイル:C50-C2-31
昭和16年(1941年)4月2日、日本陸軍撮影の航空写真を一部加工。

多摩川スピードウェイ

多摩川スピードウェイ跡地の現在の様子。


多摩川スピードウェイ(オリンピアスピードウェイ)

1936年(昭和11年)開業。東急電鉄により運営。収容人数は約3万人。コース長は1,200m。
多摩川の堤防土手を利用したメインスタンドを持つ構造であった。

多摩川スピードウェイは、アジア初・日本初の常設サーキットであり、なおかつ日本唯一でもあり、「東洋一の自動車大競走場」として、注目を集めていた。

1936年6月7日に第1回全国自動車競走大会が開催された。
第1回大会では、外国車に交じって国産車も参戦。のちに本田技術工業を創設する本田宗一郎や、ダットサン日産自動車の鮎川義介などを押しのけ、国産自動車部門では、太田祐雄のオオタ自動車工業が優勝した。
3ヶ月後の第2回大会(1936年10月)では、鮎川義介の日産ワークスが雪辱を果たし、第3回大会(1937年5月)はオオタワークス再び優勝。

全国自動車競走大会は1936年の第1回以降、1938年4月17日の第4回大会まで計4回実施された。前年1937年7月7日に勃発した盧溝橋事件以降の支那事変(日中戦争)拡大の影響もあり、第4回大会を最後に自動車競争大会は中止となった。
その後、オートバイ競争大会は行われていたが、それも1941年12月8日の太平洋戦争勃発により中止。終戦後1945年8月以降、ガソリンの供給が市中に出回り始めることで、オートバイの草レースが復活したという。

オートバイ専用の競技場として1950年10月に千葉船橋オートレース場が開設され、また周辺住民が増えてきたことから騒音問題などもあり、1950年代に廃止となり、1952年には野球場に改装。
多摩川サーキット廃止後、国内には常設サーキット(パーマメントサーキット)が存在しない状況となってしまったが、1962年に、多摩川サーキットの第1回全国自動車競走大会にも出走した本田宗一郎のホンダが鈴鹿サーキットを開設させることで再び日本に常設サーキットが復活した。

多摩川スピードウェイ
多摩川スピードウェイは、日本初の常設サーキットとしてこの地に建設されました。階段状のコンクリート製堤防は、当時の観客席そのものです。
1936年6月の第1回大会以降、ここで第2次世界大戦前の数年間を中心に自動車・オートバイのレースが開催され、3万人の観客を集めていました。
若き日の本田宗一郎氏をはじめ、出場者・関係者の多くは、レースで得た技術・経験を活かし、戦後の自動車産業の発展において中心的な役割を果たしました。
開場80周年を機に、多摩川スピードウェイが果たした役割と、先人たちの功績を後世に語り継ぐべく、この碑に記します。
 寄贈 多摩川スピードウェイの会 2016年5月


多摩川スピードウェイ跡地

現在は、多摩川堤防のコンクリート部分に、往時の観客席の跡が残っている。

すぐ脇を、東急東横線が走る。(東急東横線の多摩川橋梁)

東急東横線の車窓から。

階段状のコンクリート製観客席の遺構も多く残る。

等間隔にある穴は、座席用の穴と思われる。

サーキットのあった場所は、今は野球グランドに。

ちなみに映画「シンゴジラ」でゴジラが多摩川を渡るのが、この界隈。


場所

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参考

 サーキットに行きたい……行けない。レースが観たい……テレビもリアルもしばらく我慢だ。残念ながらサーキットでレースが見られるのが何時になるか先が見えない状況だ。今回から、寂しい想いをしているモータースポーツファンに、日本のサーキットの変遷をお届けしよう。

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