2025年2月、仕事でタイ王国に赴いていました(人生2回目のタイ王国)。
今回は時間を確保できたので前述の「タイ王国海軍博物館」についで、「タイ王国空軍博物館」に足を運んでみました。
下記の続き
目次
九九式高等練習機(立川飛行機・キ55)
タイ王国空軍に残された「九九式高等練習機(キ55)」。
日本には残っていない日本製の航空機。
大日本帝國陸軍の練習機。通称「九九式高練」「九九高練」。
1939年(昭和14年)に立川飛行機が開発し正式採用、立川飛行機と川崎飛行機が製造を担当。
1940年(昭和15年)から新型練習機として陸軍飛行学校に配備。
1943年(昭和18年)までに、立川飛行機で1075機、川崎飛行機で311機の合計1386機が生産された。終戦まで陸軍の高等練習機の主力機。
生産された機体は、日本陸軍の飛行学校で運用されたが、一部は満洲国やタイ王国にも輸出された。
タイ王国空軍は1942年(昭和17年)に本機を導入。24機が運用された。1945年の終戦時には22機が残存し、18機が稼働状態にあり、1951年まで運用されたという。
RTAF Ki-55 Tachikawa
RTAF acquired 24 Ki-55 advanced trainers from Japan in 1942. The aircraft was used to train student pilots at Flying Training School in Nakhon Ratchasima. This one on display is one of the two Ki-55’s left in the world. The other is at air museum in Beijing, China
Commissioned:1942-1950
RTAF(Royal Thai Air Force タイ王国空軍) キ-55 立川
RTAFは、1942年に日本からキ-55高等練習機24機を導入しました。この機体は、ナコーンラーチャシーマーの飛行訓練学校で訓練生のパイロット訓練に使用されました。展示されているこの1機は、世界に残る2機のキ-55のうちの1機です。もう1機は中国の北京航空博物館に所蔵されています。
就役期間:1942年~1950年
九八式四五〇馬力発動機
発動機番号 第10928号
製造年月 昭和17年6月
製造所名 日立航空機株式会社
初級滑空機「鳩」(日本小型飛行機・K-14)
1941(昭和16)年に、大東亜共栄圏の国策に応じて、朝日新聞社がタイ国に(初級)鳩型、(中級)蔦3型、(高級)鳳2型を贈り、そのうち、鳩型と鳶型が展示されている。
滑空機は、日本小型飛行機株式会社の宮原旭技師長の設計。
のちに、日本小型式K-14型(戦後生産の後進となる霧ヶ峰式はとK-14型」につながる。宮原旭は三菱名古屋航空機出身の航空機技術者、貴族院議員、男爵。戦後は自作航空機の普及啓発に努めた。
なお、現地の解説板の「Hato」と「Tobi」のイラストが入れ違っているのは御愛嬌で。「Hato」の解説文の図絵が「Tobi」になっている。
RTAF Nihon Kogata Hato
On 23 June 1941, the Asahi Shinbun Newspaper of Japan presented three Nihon Kogata gliders namely, Tobi, Hato and Ootari(Ootoriの誤字ですね) to Thailand as a goodwill gift for Thai National Day ( Then on 24 June). The Thais named these gliders Liwlom , Lenlom and Longlom respectiveely. The Hato or Lenlom on display is elementary training glider. It repuires a light tow-aircraft to become airborne.
RTAF(Royal Thai Air Force タイ王国空軍)
日本小型飛行機 鳩
1941年6月23日、日本の朝日新聞は、タイ建国記念日(その後6月24日)の親善品として、トビ(鳶)、ハト(鳩)、オオトリ(鳳)という3機の日本小型飛行機のグライダーをタイ王国に贈呈した。
タイ人はこれらのグライダーをそれぞれ、「リウロム」、「レンロム」、「ロンロム」と名付けました。
展示されている「ハト(鳩)」または「レンロム」は、初級訓練用グライダーです。 飛行するには軽量の牽引機が必要です。
中級滑空機「鳶」(日本小型飛行機・K-15)
上記と同じく、現地の解説板の「Hato」と「Tobi」のイラストが入れ違っているのは御愛嬌で。「Tobi」の解説文の図絵が「Hato」になっている。
RTAF Nihon Kogata Tobi
On 23 June 1941, the Asahi Shinbun Newspaper of Japan presented three Nihon Kogata gliders namely, Tobi, Hato and Ootari to Thailand as a goodwill gift for Thai National Day ( Then on 24 June). The Thais named these gliders Liwlom , Lenlom and Longlom respectiveely. The Tobi or Liwlom on display is aprimary training glider. It needs a catapult launch for taking off.
1941年6月23日、日本の朝日新聞は、タイ建国記念日(その後6月24日)の親善品として、トビ(鳶)、ハト(鳩)、オオトリ(鳳)という3機の日本小型飛行機のグライダーをタイ王国に贈呈した。
タイ人はこれらのグライダーをそれぞれ、「リウロム」、「レンロム」、「ロンロム」と名付けました。
RTAF(Royal Thai Air Force タイ王国空軍)
日本小型飛行機 鳶
日本の朝日新聞は、タイ建国記念日(その後6月24日)の親善品として、トビ(鳶)、ハト(鳩)、オオトリ(鳳)という3機の日本小型飛行機のグライダーをタイ王国に贈呈した。
タイ人はこれらのグライダーをそれぞれ、「リウロム」、「レンロム」、「ロンロム」と名付けました。
展示されている「トビ(鳶)」または「リウロム」は、初等訓練用のグライダーです。離陸にはカタパルトの発射が必要です。
以下は、日本とは関係ないけど。同じ空間に展示されていたので紹介。
DeHavilland DH-82A Tiger Moth
イギリスのデ・ハビランド社製の練習機。愛称はタイガー・モス。
初飛行は、1931年。
タイガー・モスは、日本では、満州事変の際に鹵獲された元国民革命軍機を、関東軍が輸送・連絡機として使用していたこともある。
タイでは戦後の導入。タイ海軍で運用予定であったが、クーデター騒ぎ(マンハッタン反乱)で、海軍は懲罰として縮小され、海軍航空隊は閉鎖のうえで、航空兵力は全てタイ空軍に移管。
RTAF De Havilland DH-82A Tiger Moth
Royal Thai Navy purchased 30 Tiger Moths from England in 1950. The Navy planned to use this primary trainer in Navy Flying School. However, in 1951 the Navy had to transfer all aircraft to Royal Thai Air Force. There the Tiger Moth was used to train members of Thai Flying Club.
Commissioned: 1951-1961
RTAF デ・ハビランド DH-82A タイガーモス
タイ海軍は1950年にイギリスから30機のタイガーモスを購入しました。海軍はこの初等練習機を海軍飛行学校で運用する予定でした。しかし、1951年に海軍はすべての機体をタイ空軍に移管せざるを得なくなりました。そこでタイガーモスは、タイ・フライング・クラブの隊員の訓練に使用されました。
就役:1951年~1961年
Boeing Model 100E(ボーイング・100E)
タイ王国空軍で最古の航空機。
アメリカで1929年より運用されたアメリカ海軍複葉艦上戦闘機「F4B」の派生型が「P-12」となりアメリカ陸軍陸上戦闘機で運用。
タイ空軍向けのP-12Eの輸出型が「100E」。2機製造のうち1機は、後に日本海軍に試験機としてAXBの名称で移管された。
アメリカ国内以外での海外展示は、タイ・バンコクのみ。
RTAF Boeing Model 100E
RTAF purchased 2 Boeing 100E fighters from USA in 1931. It is an export version of P-12E. At the same time, RTAF acquired 2 Bristol Bulldog fighters from England and 2 Heinkel HD43 fighters from Germany. These aircraft ware under evaluation to find the most suitablle fighter for RTAF. This Boeing 100E on display is the oldest Thai aircraft still exists today.
Commissioned:1931-1941
RTAF ボーイング モデル100E
RTAFは1931年にアメリカからボーイング100E戦闘機2機を購入しました。これはP-12Eの輸出型です。同時に、RTAFはイギリスからブリストル・ブルドッグ戦闘機2機、ドイツからハインケルHD43戦闘機2機を取得しました。これらの航空機は、RTAFに最適な戦闘機を見つけるために評価中でした。展示されているこのボーイング100Eは、現在も残るタイの航空機の中で最古のものです。
就役期間:1931年~1941年
Curtiss Hawk 75N(カーチス・ホーク75N)
1935年にアメリカのカーチス社が開発しアメリカ陸軍などで運用された「P‐36ホーク」。
タイ空軍は、P-36 廉価版の固定脚仕様のホーク75Nを導入。
固定脚のホーク75としては現存唯一の機体。
RTAF Curtiss Hawk 75N
Hawk 75N is a simplified version of P-36 fighter with fixed landing gear. Twelve Hawk 75N’s were purchased from USA in 1937 to become the first all etal monoplane fighter in RTAF. The aircraft flew in combat during French in RTAF. The aircraft flew in combat during French Indochina Conflict(1940-1941)and World War 2 (1941-1945). This Hawk 75N on display is theee sole surviving fixed landing gear Hawk 75 in the world.
Commissioned:1937-1949
RTAF カーティス ホーク 75N
ホーク 75Nは、固定脚を備えたP-36戦闘機の簡易版です。1937年にアメリカから12機のホーク 75Nが購入され、RTAF初の全金属製単葉戦闘機となりました。この機体は、フランス占領下、フランス領インドシナ紛争(1940~1941年)および第二次世界大戦(1941~1945年)において実戦に投入されました。展示されているこのホーク 75Nは、世界で唯一現存する固定脚式のホーク 75です。
就役:1937~1949年
ちょうど、タイ空軍の88周年の記念式典の準備が行われていたようでして。
タイ王国では国王は神の化身とされ、国民の深い敬愛の対象となっている。
※撮影:2025年2月
タイ空軍博物館、これは、また行きたいです、、、