「台湾ウイスキー・山豬迷路」日本統治下時代の台湾の酒造伝承

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先日、「台湾ウイスキー」を、懇意にしている「とある台湾メーカー」からいただきました。
covid-19の影響で、往来に制限があった日台両国でしたが、2022年10月より、制限なく往来ができるようになり、そうして台湾メーカーが日本の展示会にも久しぶりに出展。
代理店として私が、来日した台湾メーカーをサポートをしたという縁もあって、このたび台湾ウイスキーをいただいた次第でした。
最初は、台湾ウイスキー?なイメージでしたが、ちょと調べてみると面白く、さらには戴いた銘柄が、日本統治下時代からのエピソードをもっていたので、本記事に掲載したという感じ。


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台湾ウイスキー

2002年に台湾が世界貿易機構(WHO)に加盟したことにより、50年以上続いていた酒類専売制度が廃止され、自由製造となったことにより、台湾での酒造製造が活性化。「カバラン(KAVALAN)」は台湾初のウイスキー蒸溜所として台湾ウィスキー界を牽引。そして「オマー(OMAR)」のナントー蒸溜所も有名。
さらには、村おこし事業として各地の農村でも「農村酒莊」として酒造が行われるようになってきている。


新高山(玉山)と信義郷

新高山(玉山)
台湾最高峰の玉山。標高3952m。日本統治時代の旧称は「新高山(ニイタカヤマ)」として、日本の最高峰でもあった山。
昭和12年(1937年)には大日本帝国の「新高阿里山国立公園」に指定。
昭和16年(1941年)12月2日に発令された日米開戦の日時を告げる、大日本帝国海軍の暗号電文『ニイタカヤマノボレ一二〇八』の「ニイタカヤマ」とは、現在の「玉山」のことである。

信義郷
信義郷は南投県の東部に位置しており、南投県内最大の面積の郷鎮であり、全国でも第2位を誇る広さを有している。
信義郷は中央山脈及び玉山山脈上に位置し、台湾最高峰の玉山を域内に含んでいる。また、南投県信義郷は「梅の故郷」と称される台湾最大の梅の生産地でもある。


信義郷農会梅子夢工廠

南投県信義郷農会の梅子夢工廠は、信義郷を代表する梅を主力製品とする台湾のさまざまな地元農業特産品を開発している加工工場や、酒造設備を備えた「農村酒莊」となっている。

今回、戴いたウイスキーは、台湾一の名峰「玉山」の名水を活用した信義郷農会(日本で言う農協みたいなもの)「農村酒莊」で蒸留したウイスキーとなります。日本で言うところの富士山ですね。

場所

Google マップで地図を検索。乗換案内、路線図、ドライブルート、ストリートビューも。見やすい地図でお店やサービス、地域の情報を検索できます。世界地図も日本語で、旅のプランにも便利。

「山豬迷路」

「山豬迷路」を直訳すると「迷い込んだイノシイ」とか「迷子のイノシシ」とか、こんな感じだろうか。どうもイノシシを迷わせるらしい。
前置きが長くなったが、「山豬迷路」がウイスキーの銘柄。なかなか面白い。

クエッションマークがいっぱいで、これは酔って迷ってますね、、、
????

なにが書いてあるが、半分ぐらいは分からないが公式サイトを覗いてみよう。

「威士忌」でウイスキーなのですね。

【品名】山豬迷路
【類別】威士忌 (ウイスキー)
【原料】台灣穀類精釀
【酒精度】40度
【容量】600毫升 
【產地】台灣
【注意事項】瓶塞採天然軟木,酒液中若有木屑沉澱,屬正常現象。
コルクは天然コルクを使用しており、木片がワインに沈殿するのは正常な状態です。
【威士忌說明】以穀類為原料,經糖化、發酵、蒸餾,貯存於木桶二年以上,其酒精成分不低於百分之四十之蒸餾酒。
【ウイスキーの説明】穀物を原料とし、糖化、発酵、蒸留を行い、木樽で2年以上貯蔵したアルコール度数40度以上の蒸留酒。

山豬迷路-米的威士忌:玉山山簏泉水及精選台灣優質米
米のウイスキー 玉山篭泉水と台湾産の厳選された高級米を使用

以精純工法釀製蒸餾,再以頂級橡木桶存封數年裝瓶上市
洗練された方法で蒸留され、上質なオーク樽で数年間、樽詰め。
石板酒窖長年溫度介於18-23°C,絕佳的熟成環境、時間的淬鍊,造就非凡風味,四十度的口感不嗆不辣。些許的煙燻味以及大地的稻米香,想微醺、放鬆的夜晚來和山豬一起迷路吧!
貯蔵庫の温度は一年間を通して18~23℃で、優れた熟成環境と時間が格別な味わいを生み出します。ほんのりスモーキーな香りとお米と土の香り、ちょっと酔ってリラックスしたい夜に、イノシシと一緒に迷子になりませんか!

山豬建議:
イノシシのおすすめ:
直接啐飲 享受原味 迷路指數40%
ストレートで飲む オリジナルの味を楽しむ 迷子指数40%
加水稀釋 味道更豐富 迷路指數20%
水割り より豊かな風味を味わう 迷子指数20%
冰塊飲用 享受酒體的變化 迷路指數25%
ロック 味わいの変化を楽しむ 迷子指数25%


「山豬迷路」の由来

日本統治時代の台湾では大正11年( 1922)、酒専売が導入され、台湾総督府の財政状況を安定化し、台湾のインフラ整備にも貢献することになった。

公式サイトには、「山豬迷路」の由来も記載されている。エピソードは日本統治下に遡ります。

      故事來自日據時代受到強制遷村到山下的信義地利部落。據說當時部落裡有一位相當擅長釀酒的伍禡 WU MA 奶奶,由於日人限制私釀。所以伍禡WU MA奶奶都會利用黑夜用黑布將自家窗戶緊密遮住,進行穀釀的最後蒸餾作業,以提供族人於慶典中飲用。待作業完畢後再利用深夜將蒸餾完的酒渣,運至山谷中丟棄,適巧倒完之後出外覓食的山豬受到酒香的吸引,蜂擁而至,開懷品嚐起酒香四溢的酒渣。
      或許是不勝酒力,也可能是意猶未盡山豬們竟然循著味往伍禡WU MA奶奶的家中前進。整理完畢的伍禡WU MA奶奶最後將黑布收下,窗戶的燭火燈光在深夜異常明亮。山豬們此時竟然狂奔的衝進伍禡WU MA奶奶家中。
        此後族人就笑稱伍禡 WU MA奶奶的穀類精釀叫山豬迷路。而且在那限制私釀的年代,族人一提到-山豬迷路更是相視會心一笑。
        信義鄉農會酒莊沿用伍禡 WU MA 奶奶精純工法釀製蒸餾,再以頂級橡木桶存封數年裝瓶上市。為每位享用山豬迷路的同好保留住當年部落居民山居生活最為可愛的默契、友誼與歡樂。

山豬迷路(https://www.52313.com.tw/home/public/board-content?id=28

簡単に意訳します。。。
 この物語は、日本統治時代に村を山間部に強制移住させられた信義地利部落に由来する。この部族には、酒を造るのが得意な呉馬婆さん(伍禡WU MA奶奶・ウーマーおばあちゃん)がいたと言われている。日本統治下時代は個人での酒造には制限がかかっていたため、ウーマー御婆さんは、真夜中に黒い布で家の窓を暗闇の中でしっかりと覆い、穀物酒(雑穀酒)の蒸留を行って、そうして部族が祝賀会で婆さんの蒸留酒を飲むことができるようにしました。
蒸留が終わると、残り滓は深夜に渓谷に運ばれて廃棄される。ちょうど、渓谷に残り滓を注いだ後に、餌を食べにきていたイノシシが、ワインの香りにつられて群がってきた。
 アルコールをもっと欲していたのか、イノシシたちはアルコールの匂いを追ってウーマー婆さん家へ。片付けが終わって、ようやく婆さんが作業を隠していた黒い布を片付けると、窓の蝋燭の明かりが異常に明るく真夜中を照らしはじめた。このとき、イノシシたちはウーマー婆さんの家に一斉に殺到してしまった。
 それ以来、部族では「ウーマー婆さんの雑穀酒でイノシシが迷子になった」と冗談を言うようになった。 自家醸造が制限されていた当時、イノシシが道に迷ったという話をすると、部族一族郎党が笑い合った。
 信義郷農協蒸留所(信義郷農會酒莊)では、ウーマー婆さんの穀物酒の蒸留方法に従い、最高級のオーク樽で数年間樽詰めしている。 丘陵地帯の部族生活の友情、仲間意識、喜びといった最も素敵な絆は、「山猪迷子」を楽しむすべての人にとって守られています。

※画像は公式サイトより引用

迷子の猪がかわいい。。。
看板には「東埔温泉」「信義酒莊」と記載あり。
東埔温泉は、台湾最高峰の温泉地であり霊峰・玉山の名湯。

信義地利部落

Google マップで地図を検索。乗換案内、路線図、ドライブルート、ストリートビューも。見やすい地図でお店やサービス、地域の情報を検索できます。世界地図も日本語で、旅のプランにも便利。

「山豬迷路」パッケージ

まだ、飲んでいませんので、味わいに関してはまた後日。。。
ウイスキーは寒冷地というイメージがありましたが、もちろん台湾は南国。南国ゆえに熟成スピードが早く、台湾ウイスキーはフルーティでまろやかになるのだとか。開封が楽しみ。

というか、台湾行きたい、、、

※撮影2022年11月


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