地下工場跡を再利用した「どうくつ酒蔵」(東京動力機械製造地下工場跡・島崎酒造どうくつ酒蔵・烏山)

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栃木県那須烏山市。
ここに、地下工場(地下壕)を再利用した酒蔵があるというので、足を運んでみた。


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東京動力機械製造地下工場

第2次世界大戦末期に戦車を製造するために建造された地下工場跡。
昭和19年11月に民間企業であった東京動力機械製造株式会社の疎開が決定。戦車を製造していた軍需工場でもあった。
疎開先の烏山の山裾に半地下式工場が建造され、隣接して地下工場も造営。
半地下式工場では、終戦までに約20台の戦車が製造されたと言われている。しかし、この地下工場では戦車を製造することなく終戦を迎えている。
地下工場は、高さ幅ともに3.5mの3本の坑道とそれを結ぶ5本の横坑で構成され、総延長は600m。
人力だけで素掘りされた隧道群。

「東京動力機械製造株式会社地下工場跡」として土木学会選奨土木遺産に認定されている。
選奨理由「戦車製造の軍需工場として人力だけで建造された総延長600mの素掘り隧道群で、意匠・技術力を超越した迫力が感受される土木遺産である。」
また、那須烏山市の近代化遺産にも認定されている。


島崎酒造どうくつ酒蔵

「東力士」で知られる島崎酒造。
戦後に、東京動力機械製造地下工場を酒蔵として活用。通称「どうくつ酒蔵」。
2011年に、旧地下工場跡の洞窟を酒蔵化している。

嘉永2年(1849年)創業。栃木県那須烏山市にある酒蔵「島崎酒造」です。3月中旬から12月末にかけて、洞窟酒蔵の見学が可能です。小さなお子様から大人まで楽しめる秘密の空間です。開放日はご予約なく見学いただけますので、お気軽にお越しください。

場所


東京動力機械製造地下工場跡(どうくつ酒蔵)散策

土日祝日が開放日。

入口。

受付時に音声ガイドのタブレットが手渡されました。
なかなかハイテクですね。

音声自動ガイド。

まだまだ暑い9月の訪問でしたが、中は一気に温度が下がりました。
日本酒を貯蔵するのに最適されています。

どうくつ施設について
歴史
第二次大戦末期、1944~45年頃、戦車を製造するために作られた地下工場跡地です。
当時、400人程度の人の手が掘削作業にあたり、約1年半という短い期間で地下施設を完成させました。

どうくつの大きさ
約12,000㎡の山一つの地下に
縦穴 100m 3本
横穴  60m 5本
トンネル横幅 3~4.5m
トンネル高さ 3.5m~4m
トンネル延べ 600m

形状
上から眺めると格子状ですが、真横から見ると、3本の縦穴は入り口から奥の突き当りの非常口まで貫通しており、すべて上り勾配がついています。これは暖かい空気は上に上るといった現象を利用してどうくつ掘削作業、施設稼働時の酸欠の危険を防ぐ空気循環の考慮だと言われています。

どうくつ内温度
どうくつ内の温度は年間を通じ平均10℃前後、冬場は5℃、夏場は15℃前後になっており、お酒の熟成には最適の温度環境になっております。

周辺減光してますね、、、洞窟内なので撮影が難しい。。。

つきあたりに、観光地でよくある顔出しパネルが、、、

洞窟内では、テレビや映画の撮影や、音楽コンサート、イベントなども開催。

温度は、18℃くらいで、湿度は65%くらい。

オーナーズボトルの貯蔵。5年から20年ものあいだ、寝かせるという。

外が見える。

下に降りる階段がある。

下は、売店。日本酒が買える。

どうくつから外に出る。
温湿度差でカメラのレンズが一気に曇る。。。

土木学会選奨土木遺産

土木学会の認定証

烏山市の近代化遺産

https://www.city.nasukarasuyama.lg.jp/data/doc/1610777525_doc_6_0.pdf

どうくつの酒場で購入しました。
「東力士純米吟醸 どうくつ熟成酒」

外で、サイダーとアイスも。
「東力士サイダー」「東力士吟醸酒アイスクリーム」

パンフレット

東力士ステッカー

どうくつ酒場から見えていた開口部。

どうくつ酒場のある山。

ちなみに、烏山線の滝駅から歩きました。電車の本数が少なくて調整必要。
どうくつ酒蔵のあとは、歩いて神長トンネルを抜けて烏山の筑紫山の防空監視哨(別記事で記載します)に行きましたが、この2つを歩いていくのは修行ですね。

※撮影:2023年9月


位置関係

国土地理院航空写真
地図・空中写真閲覧サービス
ファイル:USA-M561-104
1947年11月17日、米軍撮影の航空写真。

該当部分を拡大。

現在の位置関係。


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