「熊谷陸軍飛行学校桶川分教場(陸軍桶川飛行学校)」跡地散策・2

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桶川にあった陸軍桶川飛行学校の跡地散策。
本記事は、「その2」です。

「その1」から順を追って見ていただければ、幸いです。

桶川にあった陸軍桶川飛行学校は、戦後は市営住宅として活用されていたが、木造建築であったために老朽と廃墟化が進んでいた。その後、私が戦跡に興...

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桶川飛行学校平和祈念館

桶川飛行学校平和祈念館

さて、敷地内に。

桶川飛行学校平和祈念館 施設案内
開館時間 午前9時~午後4時30分
休館日 月曜日(祝日の場合はその翌日休館)
    毎月月末(日曜の場合は開館)
    年末年始(12月27日~1月5日)
    その他特別整理期間等
入館料 無料


守衛棟

熊谷陸軍飛行学校桶川分教場と建物
熊谷陸軍飛行学校桶川分教場
熊谷陸軍飛行学校桶川分教場は、昭和10年(1935年)に現在の熊谷市に開校した熊谷陸軍飛行学校の分校として昭和12年(1937年)に設置されました。各地から集った生徒はここで寝食をともにしながら、陸軍航空兵になるための飛行機の操縦教育を受け、その後戦地へ向かいました。当時の桶川分教場には、飛行機学・発動機学・気象学など、複数棟の建物がありました。現在、本部棟や食堂棟など約半数の建物は基礎だけ残っている状態ですが、守衛棟・車庫棟・兵舎棟・便所棟・弾薬庫の5棟については建物全体が残されています。

市指定文化財
旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物 守衛棟
種別:有形文化財(建造物)
平成28年2月29日指定
 桶川分教場時代の守衛棟には、門衛が待機し、生徒や教官、分教場で働く地元の人々など、入場者の管理をしていました。一時期は、生徒が利用する売店があったとも伝えられています。建物は木造平屋建て切妻造で、壁は木材を横に張る南京下見板張とし、屋根はセメントを固めてつくるスレートという材料で葺かれています。


建物跡(消防ポンプ小屋)

井戸跡。


車庫棟

旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物 車庫棟
市指定文化財
旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物 車庫棟
種別:有形文化財(建造物)
平成28年2月29日指定
 車庫棟は、桶川分教場で使用されていたトラックなどの軍事車両を格納・整備するための建物です。室内のコンクリートの土間には一段下がった部分があり、これは車両整備のためのピットとして使用されていました。車庫棟は、木造平屋建て切妻造の建物で、壁には主に波板鉄板張としながら、一部がささら子下見板張で、屋根はスレートで葺かれています。当時は陸軍省経理局から「陸軍建築設計要領」が発行されていたため、桶川分教場もこれにならい、やめに不燃材料であるスレートを使用し、屋根の骨格には洋小屋(キングポストトラス)を採用しています。また、この建物は昭和18年(1943年)に増築され、4間半(9m)文、建物が拡大されました。当初部分と増築部分では、異なる工法が用いられています。屋根を構成する洋小屋の合掌の補強を見ると、当初部分は金属製の留め具が用いられていますが、増築部分は木の板に釘留めをすることで代用されています。戦争が長期化したことで、金属資源が不足したことによるものであると考えられます。

ピット(作業用のくぼみ)
ピットをまたぐ形で車両を停め、車体の整備を行っていました。
ピットの寸法
幅 0.93m
奥行4.03m
深さ1.04m

1 建物の概要
桶川市指定文化財
旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物
 1.守衛棟
 2.車庫棟
 3.兵舎棟
 4.便所棟
 5.弾薬庫

2 桶川分教場の敷地
 陸軍省は、昭和12年(1937年)に桶川分教場の建設用地を購入しました。昭和14年(1939年)及び昭和18年(1943年)にも、周囲の土地を買い足しています。
 当時の桶川分教場は、現在の桶川飛行学校平和祈念館の敷地より広い敷地を有していました。

3 桶川分教場の建設
 桶川分教場は当時の陸軍の規定に則して、守衛棟・車庫棟・兵舎棟・便所棟は木造で、爆発するおそれがある弾薬庫は、鉄筋コンクリート造で設計されました。
 建物の工事期間は、わずか4ヶ月ほどで、建設を急いでいる様子が当時の新聞でも報道されています。建設を急いだためか、建物の部材各所に残る墨書の筆跡からは、複数の大工集団が建設にあたっていた様子が伺えます。敷地内の植樹は、地元川田谷村青年団の努力奉仕により行われました。
 荒川対岸にあった飛行場では、開校当時、飛行機は天幕によって格納されていましたが、昭和14年(1939年)、格納庫の建設が決まりました。現在は、その基礎のみが残っています。

4 建物の特徴

5 建物の調査

6 文化財建造物の修理


建物跡(学校本部棟)


建物跡(食堂棟)


便所棟

旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物 便所棟
市指定文化財
旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場建物 便所棟
種別:有形文化財(建造物)
平成28年2月29日指定
 便所棟は、生徒の便所・洗面場として使用された建物です。生徒は午前5時30分に起床し掃除の後、ここで顔を洗い、葉を磨き、身支度を整えました。便所は汲み取り式で、便房の床下に設置した甕に溜まったものを、取り出し口からひしゃくなどで汲み取っていました。便所棟の建物は、守衛棟・兵舎棟と同様に、木造平屋建て切妻造の建物で、壁は南京下見板張、屋根はスレートで葺かれています。守衛棟・車庫棟・兵舎棟は屋根の骨格が「洋小屋」ですが、便所棟の屋根の骨格は「和小屋」です。当時、陸軍省から発行されていた「陸軍建築設計要領」には、間仕切壁の多い厠(現在の便所)は和小屋にすることが規定されていたので、これに従い和小屋を採用したと考えられます。昭和18年(1943年)には生徒の増員に伴い、便房が2室増築されました。創建当初からある甕は陶器製ですが、増築部分の甕はコンクリート製です。

昭和18年(1943年)増築部の便房(東側の2室)で使用されたコンクリート製の甕

井戸


建物跡(教室棟)


防火水槽跡(円形)


防火水槽跡(八角形)


講堂跡

桶川飛行学校平和祈念館の敷地裏。ここは、桶川飛行学校平和祈念館の敷地外。講堂があったという。ホンダの管理敷地。

次は、その3へ。メインの兵舎棟へ。


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