宇都宮第14師団司令部と衛戍病院の跡地散策(軍都宇都宮の戦跡散策3)

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第14師団がおかれた軍都宇都宮。往時を偲ぶ戦跡を巡ってみる。

本記事は、「その3」にあたります。「その2」はこちら。

2024年1月に宇都宮周辺を散策してみました。 本記事は、「その2」です。「その1」はこちら。 旧...

また、撮影時期は2024年8月と1月が混在となります。


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位置関係

主要拠点は下記となる。

  • 陸軍第14師団司令部:独立行政法人国立病院機構栃木医療センター
  • 歩兵第28旅団司令部:独立行政法人国立病院機構栃木医療センター
  • 宇都宮衛戍病院:独立行政法人国立病院機構栃木医療センター
  • 歩兵第59聯隊:若草1丁目・とちぎ福祉プラザほか
  • 歩兵第66聯隊:若草2丁目・栃木県警察学校・宇都宮中央高等学校ほか
  • 貯水池:宇都宮市水道局戸祭配水場
  • 宇都宮偕行社:桜美公園
  • 師団長官庁舎:宇都宮地方合同庁舎
  • 輜重兵第14大隊:作新学院高等部
  • 騎兵第18聯隊:作新学院中等部
  • 糧秣倉庫:フードオアシス オータ二 一の沢店
  • 野砲第20聯隊:宇都宮短期大学附属中学・高等学校 睦町キャンパスほか
  • 兵器支廠:栃木県中央公園

国土地理院航空写真
地図・空中写真閲覧サービス
ファイル:USA-R389-193_19471025
1947年10月25日に米軍が撮影した航空写真を加工。
軍事施設の位置関係を落とし込み。

現在の様子。

国土地理院航空写真
地図・空中写真閲覧サービス
ファイル:USA-R518-105_19490107_1
1949年1月7日に米軍が撮影した航空写真を加工。

司令部周辺を拡大。

同じく現在の位置関係。

上記に基づいて、各拠点を散策してみます。


第14師団

師団司令部は宇都宮。
日露戦争で日本は従来の師団すべてを動員したため、本土駐留師団がなくなる事態となった。そこで第14師団を含む4個師団が創設された。

明治38年(1905)に福岡小倉で結成。
明治40年(1907)に第14師団の衛戍地が宇都宮となる。
宇都宮第14師団水戸歩兵第27旅団隷下として、佐倉(水戸)歩兵第2連隊と習志野歩兵第59連隊。
宇都宮第14師団宇都宮歩兵第28旅団隷下として、高崎15聯隊と新設された宇都宮第66歩兵聯隊。
明治41年(1908)には、師団司令部が宇都宮の新庁舎に移転し、歩兵第28旅団司令部、騎兵第18連隊、満洲野砲兵第20連隊、輜重兵第14連隊が宇都宮への移駐を完了。翌年に、歩兵第59連隊が宇都宮への移駐を完了。
大正8年(1919年)4月、第14師団はシベリア出兵のため派遣。
大正9年(1920年)5月、ニコラエフスクで守備を行っていた水戸歩兵第2連隊第3大隊と一般市民が過激派によって虐殺される事件、いわゆる「尼港事件」が発生。
大正14年、宇都宮歩兵第66連隊が廃止。松本歩兵第50連隊が第14師団歩兵第28旅団の隷下となる。歩兵第27旅団司令部が水戸から宇都宮へ、歩兵第28旅団司令部が宇都宮から高崎へ移動。

支那事変では、第14師団は華北戦線に投入される。
太平洋戦争が始まると、満洲駐剳師団から南方へ転用され、第14師団はパラオ諸島に展開。
第14師団は主力をパラオ本島に、歩兵第2連隊(およびその配下に編入された歩兵第15連隊第3大隊)をペリリュー島に、歩兵第59連隊第1大隊をアンガウル島に配備。
ペリリュー島・アンガウル島の部隊は全滅し、パラオ本島に残る師団主力は飢餓と空襲で多くの損害をだし終戦を迎えている。

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第14師団司令部・宇都宮衛戍病院跡

現在の栃木医療センター。
南のエリアには、栃木県体育館があったが、2021年度末で持って閉鎖となり、解体中。跡地は栃木県の公共機関の再開発予定。

独立行政法人国立病院機構栃木医療センター

結構大きい。

以下、サイトより。

沿革
明治41年4月20日(1908年) 宇都宮陸軍衛戍病院として創設され、その後、分院の設置を経て、宇都宮第一陸軍病院と宇都宮第二陸軍病院となり、昭和20年12月1日の厚生省へ移管と同時に、宇都宮第一陸軍病院が国立栃木病院へ、宇都宮第二陸軍病院が国立宇都宮病院として、それぞれ発足した。昭和21年12月20日には、この両院が合併し、国立栃木病院となり、更に昭和25年4月1日、本院の隣接地にあった日本医療団宇都宮中央病院を併合した。その後平成13年1月6日、省庁再編成により厚生労働省所管となった。平成16年4月1日に独立行政法人化に伴い、独立行政法人国立病院機構栃木病院となり、平成25年4月1日に独立行政法人国立病院機構栃木医療センターに名称変更した。

栃木県宇都宮市にある独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センターの公式サイトです。このページでは「施設の概要」を掲載しています。

場所


陸軍第14師団の東営門の門柱(栃木医療センター)

病院の東側の道路にそって、門柱がありました。
一柱は倒れた状態。このまま放置されるのか、消失してしまうのか、ちょっと心配です。

コンクリのモルタルが剥がれて、レンガが露出しています。

内側から

一柱は倒れておりました。

うーむ、な状態。

場所


宇都宮衛戍病院の軍用地境界標

宇都宮陸軍衛戍病院の北西端に。
歩兵連隊との境界にも当たる場所。

右が、陸軍衛戍病院、左が歩兵第59聯隊。

場所


陸軍第14師団の西営門の門柱(栃木医療センター)

西側にも門柱が残っています。
栃木医療センターの南西端に位置します。
現在、門柱としては機能していませんが、残す意図があると良いのですが。

場所

※撮影:2024年1月及び8月

「その4」へ

第14師団がおかれた軍都宇都宮。往時を偲ぶ戦跡を巡ってみる。 本記事は、「その4」です。「その3」は、以下にて。 ...

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