大正12年(1923)の関東大震災ののち、帝都復興院総裁となった後藤新平が中心となって、地震発生時の防火帯設置を目的とした公園の確保が重要視されることとなった。
震災復興三大公園として「隅田公園」「浜町公園」「錦糸公園」が設置。
また、昭和5年(1930)に完成した横綱町公園には震災記念堂と震災記念館が建設された。
東京市公園課長に就任した井下清は、52箇所の東京市立公園を設計。小学校を不燃化・耐震化させた鉄筋コンクリート校舎とし、小公園を併設することにより防火帯と避難設備の役割を担った。
この井下清が設計した小学校とセットとなった小公園が東京市内52箇所に設置され「震災復興52小公園」となる。
戦後の再開発で当時の「震災復興公園」は消滅や縮小などもあり、往時の姿を完全に残すものはない。
今回訪れた「元町公園」は昭和57年(1982)に原型に忠実な改修が行われたことにより、開園時の井下清の設計思想を伝える小公園として復元をされている。
元町公園
昭和5年開園。設計は東京市公園課長の井下清。
モダンデザインな擁壁や壁泉、太い円柱が印象的なパーゴラ(つる棚)、左右対称の2連式滑り台など、当時の特徴的な様式を伝える小公園。
正門
文京区立
元町公園
開園年月日
昭和5年1月25日
壁泉
カスケード(水階段)
トイレ建屋もモダンな雰囲気
裏門
滑り台と砂場はシンメトリーなデザイン
全体的にモダンな空間
公園を見守る鷲像
旧元町尋常小学校
元町公園の隣には、元町小学校があった。
関東大震災で建て替えられた復興小学校の一つ。
昭和2-3年頃(1927-8年頃)竣工という。
1998年(平成10年)3月31日で閉校。
現在、文京区は旧元町小学校の整備と元町公園との一体的活用事業をおこなっており、学校法人順天堂を軸に保全整備が行われることになっている。
〆