日本の近代建築を巡っていると、知らず知らずに出会っているのが「伊東忠太」が手掛けた建造物。日本近代建築において、欠かすことができない人物。
そんな伊東忠太の墓が、鶴見・総持寺にあると聞いたので脚を運んでみた。
目次
伊東忠太
1867年11月21日-1954年(昭和29年)4月7日(享年87歳)
正三位・勲二等瑞宝章・工学博士・東京帝国大学名誉教授・米沢市名誉市民第1号。早稲田大学教授。辰野金吾の弟子。
日本建築を学問的に見直した第一人者。「日本建築史の創始」。
また明治27年当時は「造家」と約されていた「Architecture」を「建築」と訳すように提唱したの伊東忠太であった。それを受けて、明治30年に「造家学会」が「建築学会」に改称し、明治31年には東京帝国大学工科大学造家学科が建築学科に改称している。
昭和18年(1943年)に建築界ではじめての文化勲章を受賞。
伊東忠太が手掛けた建造物は枚挙にいとまがない。
以下、現存している代表的なものを。
- 橿原神宮 1890年/重要文化財
- 平安神宮 1895年/重要文化財
- 東京大学正門 1912年/登録文化財
- 弥彦神社 1916年/登録文化財
- 明治神宮 1920年
- 上杉神社 1923年
- 総持寺放光観音台座 1923年/登録文化財
- 東京商科大学兼松講堂(一橋大学) 1927年/登録文化財
- 震災祈念堂(東京都慰霊堂) 1930年
- 靖國神社遊就館 1930年/登録文化財
- 靖國神社神門 1930年
- 靖國神社石鳥居 1934年
- 築地本願寺 1934年/重要文化財
- 湯島聖堂 1934年
- 神田神社 1934年/登録文化財
- 高麗神社 1935年
- 総持寺大僧堂 1937年/登録文化財
伊東忠太墓
総持寺の「伊東忠太の墓」は「石原裕次郎の墓」の4つ南に鎮座している。
石原裕次郎という目印がないとしょうしょうわかりにくい。
伊東忠太の墓は大谷石で造られているため年月とともに風化している。風化することを踏まえているのであれば、なおさらに奥深いものがある。
伊東家之墓
昭和15年3月建
伊東忠太
生前に設計した墓。
伊東忠太は昭和29年4月に亡くなっている。
総持寺の墓地担当者による立て看板が建っていました。
総持寺が伊東忠太の御子孫と連絡が取れない。。。と
大谷石で造られた外柵は一部崩壊していた。
伊東忠太の墓の場所は、「西望一 5-1」
(ちなみに石原裕次郎の墓は隣の「西望一 6-1」
大本山總持寺、墓地はかなりの広さ。
総持寺にある「浅野家墓所」の設計は伊東忠太。
伊東忠太は東京三田の浅野邸「紫雲閣」(戦災焼失)の設計も行っていた。
浅野総一郎墓所
伊東忠太設計。詳細は下記記事にて。
そのほか総持寺には、伊東忠太とは関係ないが、下記で記事にした「小野光賢と小野光景父子」や「大西瀧治郎」の墓がある。高橋三吉海軍大将の墓もあるというが未訪問(場所不明です・・・)
伊東忠太が眠る総持寺境内には、伊東忠太の作品が2つある。(ほかにも境内には伊東忠太が関わっている墓がいくつかあるが、浅野家以外の個人墓は割愛。)
総持寺・放光観音台座
大正12年(1923年)建立。花崗岩製の台座。台座の設計は伊東忠太。
登録有形文化財。
総持寺・大僧堂
昭和12年(1937年)建立。伊東忠太の設計。登録有形文化財。
伊東忠太作品
そのほか、私の写真フォルダから伊東忠太作品をいくつか掲載。
上杉神社
伊東忠太は米沢出身。
大正8年に米沢大火で焼失した社殿を、伊東忠太が設計し大正12年に竣工。
稽照殿(上杉神社宝物殿)
一橋大学兼松講堂(東京商科大学)
昭和2年(1927年)、国登録有形文化財、伊東忠太設計。
入澤達吉邸(近衛文麿邸)
昭和2年、伊東忠太設計。
東京都慰霊堂(震災祈念堂)
昭和5年(1930)、伊東忠太設計。
東京都復興記念館
昭和6年、伊東忠太設計。
築地本願寺
昭和9年(1934)、重要文化財、伊東忠太設計。
東郷寺山門
昭和15年、伊東忠太設計。
児玉神社
明治45年(1912年)、伊東忠太設計。
明治神宮
大正9年(1920)、伊東忠太設計。戦後再建。
平安神宮
明治28年(1895)、重要文化財、伊東忠太設計。
弥彦神社
大正5年(1916)、国登録有形文化財、伊東忠太設計。
神田神社(神田明神)
昭和9年(1934)、権現造鉄骨鉄筋コンクリート・総朱漆塗、国登録有形文化財、伊東忠太設計。
湯島聖堂
大成殿は伊東忠太設計、大林組施工により、1935年(昭和10年)に鉄筋コンクリート造で再建。寛政年間の旧制をもとに復元再建したもの。
高麗神社
昭和10年(1935年)、伊東忠太設計。
靖國神社遊就館
昭和5年(1930)、登録文化財、伊東忠太設計。
靖國神社神門
昭和8年、伊東忠太設計。
靖國神社石鳥居と狛犬
昭和8年。長野の片倉財閥の奉納。伊東忠太設計。
靖國神社大灯籠
昭和10年、設計は伊東忠太。
大燈籠に関しては、別記事を作成予定。
伊東忠太作品に出会ったら追記していきます。。。