令和元年9月撮影
日本陸軍の鐵道聯隊(鉄道連隊)で活躍した蒸気機関車(SL)が「新江古田駅」の近くに保存してある、と聞きまして、足を運んでみました。
目次
E形蒸気機関車
元日本陸軍 鐵道聯隊 E18
1921年に日本陸軍の鐵道聯隊にて使用する野戦軽便鉄道用機関車として陸軍省にて発注。
1921年にE1号からE25両の25両、1925年にE101号からE106号の6両の合計31両が発注され、ドイツのコッペル社(O&K社)にて製造された。
展示されている「E18」は1921年製造。
日本陸軍鐵道聯隊で活躍した蒸気機関車。
戦後は、西武鉄道に引き取られ西武安比奈線にて「安比奈のコッペル」「コッペルのE」として活躍するも、安比奈線は休止線となり、いつしか放置廃車体へと。
その後、ユネスコ村で保存されるも閉園。
1990年のユネスコ村閉園後は、鉄道出版社の手で現在地に保存。
元日本陸軍 鐵道聯隊 E18
1921(大正10)年
ドイツ オーレンシュタイン・ウント・コッペル社製造
全長5.8m 全幅1.8m 重量約12t
千葉市と習志野市にあった鐵道聯隊は戦地での迅速な物資補給を行うために設けられた。日本では1896年に鐵道大隊として発足し、日露戦争後に鐵道聯隊となった。素早く戦地で輸送力の大きな鉄道を輸送、敷設、撤去するために、600mmゲージの機関車とレールと枕木を組み上げたハシゴ状のものを使用する軍用軽便鉄道が導入された。
この機関車はドイツのコッペル社から1921年に輸入された25両のうちの1両である。急カーブを通過させるために動力はすべての車輪に伝達されるが、最前部と最後部のそれぞれ2輪はカーブに沿って首を振る構造になっている。
太平洋戦争が終結した1945年をこの機関車は千葉市の兵器補給廠で迎え、その後西武鉄道に引き取られて、1947年から入間川の砂利採取線(現在の川越市安比奈)で同型のE16、E103とともに使用された。活躍は1950年代で終了したが、その後も廃車体として河原に放置されていた。
1960年代末に河原から西部所沢工場に移され、さらに玉川上水の西武運輸の倉庫に移動、1971年から所沢市のユネスコ村でE103とともに保存、展示された。
1993年、「大恐竜探検館」建設のために展示場所を失って、この場所に移動、2007年に建物建て替え工事が始まるまで保存された。
その後、静岡県の大井川鐵道に依頼して外観の修復を行い、2012年8月、東京ビックサイトで開催されたJAMコンベンションでの3日間の展示を経て、ここに戻ってきた。
なお僚機E103は北海道丸瀬布での保存の後、2002年ドイツに里帰りして動態復元工事中である。
「E18号」の僚機であった「E103号」は、現在はドイツに里帰りし「 フランクフルト軽便鉄道博物館 」にて動態保存されている。
フランクフルト軽便鉄道博物館
E103号
ドイツに里帰りしたE103号。
復元の様子などがPDFにて写真確認することが出来ます。
https://feldbahn-ffm.de/wp-content/uploads/2019/03/ffm_projekt_e103.pdf
場所(江古田)
「とれいん」を出版する 株式会社エリエイ出版部 の社屋前にて展示されている。
建物の名前は
FELDBAHNHAUS SHIN-EGOTA
フェルトバーンハウス新江古田
フェルトバーンとはドイツ語で「軽便鉄道」を意味している。
新江古田駅徒歩5分
付記
鐵道聯隊の仲間、そして西武鉄道でも仲間だった車輌。
鐵道聯隊「E形」後継機にあたる「K2形」
日本陸軍鐵道聯隊では「E形」蒸気機関車を改良した国産「K1形」を経て国産「K2形機関車」を1942年より量産している。「K2形蒸気機関車」は鐵道聯隊ゆかりの習志野市に保存されている。
鐵道聯隊「K2形」機関車134号
K2形機関車134号
この蒸気機関車は、かつてここ津田沼に本部を置いていた陸軍第2連隊が使用していたもので、現在の新京成線敷地内にあった陸軍演習線での機関車として活躍したものです。
この度、西武鉄道㈱ユネスコ村に保存してあったものを譲り受け、鉄道連隊ゆかりの、この津田沼一丁目公園に設置したものです。
平成6年3月
習志野市「津田沼一丁目公園」 (JR津田沼駅・京成新津田沼駅もより)
関連
習志野の鐵道聯隊
千葉の鐵道聯隊
〆